「都市デザイン交流フォーラム2014」     2014年2月22日

2014222日の午後、浅草文化観光センターにて、JUDIを核とした合同シンポジューム「都市デザイン交流フォーラム2014」が開催されました。吉田慎悟さんが司会進行をされることもありCBNも共催団体の一員として名を連ねています。

テーマは「隅田川の景観・歴史的橋梁の文化的価値を考える」。

 

現在、隅田川の下流にはその名を知られた多くの著名橋が並んでいて、中でもレインボーカラーと称され、原色に近い鮮やかな色に塗装された7橋が強い存在感を示しています。今回のシンポジュームは、塗り替えが予定されている浅草の吾妻橋を中心に橋梁の色彩について問いかけようと、企画・実施されたものです。

当日は、150名近くの参加者が集う大盛況の会となりましたが、途中、第2会場におけるYou Tubeでの映像配信が中断したために、第2会場の参加者を第1会場に詰め込む事態となりました。とはいえ、これも今回の内容が興味深いものである証でもありましたし、結果も大好評でした。

 

全体を通した(個人的な)印象となりますが、はじめに気になった点は、こんなに高彩度の色が橋梁に使用されていた事実です。これは驚きでした。そしてこのような刺激色が橋に使われるにあたって、明快な根拠や指標が乏しい印象も感じました。

前回の吾妻橋の塗装では、深みのある赤が選定され塗装された後、どこかの時点で現在の真紅に塗りかえられていて、この塗り替えについてはそのいきさつがよく分からないようなのです。色彩管理の面が重視されていないこの状況はとても残念です。環境色彩分野について、関係者における今まで以上の努力が求められるように思えます。

パネルディスカッションでは、個々のパネラーを中心に、「塗り替えるならこの色を」という推薦色による吾妻橋のCG画像を提案いただき、最終6点の画像について、参加者にアンケートをお願いしました。これは大変興味深い試みで、このアンケート結果は後日連絡いただく予定ですので、公開できる機会があると思います。

 

それにしても、様々な塗装案とその説明を耳にしましたが、個々人のプランニングの論旨(というより見方?)に大きな違いがあることにも驚きました。ファッション<ID<環境の順に、自由度が減少するようなイメージがありましたが、方法論や途中作業はさておき、橋梁におけるカラーアプローチでは、まだまだ基本的定見が存在していないように感じてしまいました。カラーというものには、所詮、個人が大きくかかわっているものなのでしょうか。(CBN事務局)

第2会場


<フォーラム内容>

講演『隅田川に架かる著名橋がつくり出す景観』

中井祐 東京大学教授/GSデザイン会議

報告1『隅田川ルネサンスの取り組み紹介と水辺活性化への期待

中野恒明 芝浦工業大学教授/都市環境デザイン会議

報告2『世界の水辺・橋梁』

 小林正美 明治大学教授/ 都市環境デザイン会議・景観デザイン支援機構

報告3『都選定歴史的建造物・隅田川橋梁の塗替えについて』

谷内加寿子 東京都都市整備局都市づくり政策部緑地景観課景観担当課長

パネルディスカッション『 都市デザイン、建築、土木の専門家による著名橋の色についてのディスカッション』

 パネラー:尾登誠一 東京芸術大学教授/ 公共の色彩を考える会

      杉山朗子 ㈱日本カラーデザイン研究所景観事業部長/ 都市環境デザイン会議・景観デザイン支援機構

      宮沢功 ㈱ヨシモトポール顧問/都市環境デザイン会議・景観デザイン支援機構

 司会進行:吉田愼悟 武蔵野美術大学教授/都市環境デザイン会議・景観デザイン支援機構